HOME お品書き こだわり お知らせ 店舗案内 お問合わせ

 

 

フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトは、日本では、日本の医師に医学の講議を行い、ヨーロッパに日本の文化を広めたことで有名なドイツの医師・博物学者です。自然科学の研究も行なっていたシーボルトは、日本滞在中に多くの植物の採取や調査に力を注ぎ、美しい紫陽花を世界に紹介しました。

彼が愛した日本人妻の楠本滝(愛称・オタキさん)の名前をドイツ風に捩ってOtakusa、という種小名で登録申請をされた記録もあるほどです。

今回は紫陽花に魅せられたシーボルトのお話と、シーボルトが魅せられた紫陽花の、よもやま話をご紹介します。

 

シーボルトはプラント・ハンター

 

15世紀のヨーロッパ諸国は、富を求めて軍艦を世界中に派遣するようになりました。その時軍艦には必ずプラント・ハンターが乗り組んでいました。任務は、経済価値のある植物資源になるような植物をたくさん採集すること。プラスチックや化学繊維のない当時、植物は衣食住すべての資源の元でした。

又、医薬品や原材料にもなりました。採集した植物は母国の植物園に送って、秘められた可能性を研究します。現在の植物園とは違い、その頃の各国の植物園は資源戦略の総司令部であり最先端の研究開発機関でした。

こうして、植物が原産地から世界中に目覚ましいスピードで拡散することになりました。

 

シーボルトはたくさんの日本の植物をオランダに持ち帰り、それを育てて品種改良などに努めました。
西洋紫陽花もその一つでした。

シーボルトは、ライデンにオランダ王立園芸振興協会を設立し、おもに日本から植物を収集して苗の頒布を行いました。
その植物目録には433の植物名があります。
アジサイ属については、アジサイ、べニガク、フィリべニガク、ガクアジサイがあったと言われています。

 


シチダンカ(七段花)

「シチダンカ」は、六甲山系に自生する「ヤマアジサイ」の一種で、「シーボルト」が発見しました。
その著書「日本植物誌」で紹介して、その名が知られるようになったが、実物や標本を見たという日本人が現れず、長らく「幻のアジサイ」と呼ばれていました。

 

紫陽花よもやま話

 

アジサイ(紫陽花、英名・学名Hydrangea)とはアジサイ科アジサイ属の植物の総称です。
学名は「水の容器」という意味で、そのまま「ヒドランジア」あるいは「ハイドランジア」また、英語では「ハイドレインジア」と呼ばれています。

文学的にも歴史が古く、万葉集でも詠まれています。

 

植物図鑑の神様と称された、牧野富太郎氏の著した『牧野植物図鑑』の中には以下のような一文があります。

『あじさゐ』は、”あづさゐ”が変化したものである。
『あづ』の意味は、”集”である。『さゐ』は、”さあゐ”が変化したもので、その意味は『真藍』である。
『集真藍』とは、『藍色の花が沢山集まって咲いた花』を意味するとの事。


牧野博士の言われる『あづさゐ』は、上記写真のようなガクアジサイを指しています。

 

一方、シーボルトが愛妻・お滝さんの愛称( Otakusa )を、新種植物の学名(Hydrangea Macrophylla var. otaksa )に付記して申請したのは『半玉形のアジサイ』でした。

 

紫陽花は昔は貴族に好まれた花で色が七変化するので 心変わりにつながり、節操を重んじる武士には好まれなかったと言われています。
鎌倉は、ガクアジサイの自生地である三浦半島と伊豆半島に挟まれたような土地です。
鎌倉幕府の周辺にアジサイは植えられていたのでしようか?
今でも鎌倉は、アジサイの生育には適した環境のようで、半野生のアジサイを見かけますね。


「あじさいに燕」-葛飾北斎画

 

あじさい(紫陽花)は夏の季語。

あぢさゐの下葉にすだく蛍をば四ひらの数の添ふかとぞ見る(藤原定家)

「白氏文集巻第ニ十」「紫陽花詩」とその詞書き

招賢寺有山花一樹、無人知名色紫気香、芳麗可愛、頗類仙物 因以紫陽花名之
意味:招賢寺に、名前が不明の紫色の花木があった。 その名を知る人がいない。 色は紫で芳香がある。 芳しく麗しい愛すべき花。 まるで、仙界の花のようなのでこの花を紫陽花と名付けた。

この、「紫陽花」という漢字を今の「あじさい」の漢字として引用し始めたのが源順(みなもとしたごう)。
ちなみに現在中国では詩の中の「紫陽花」がどんな植物を意味するか不明とされています。

また、「草冠(くさかんむり)に便」の字に和訓として「止毛久佐又安知左井」とあることからアジサイの葉はトイレットペーパーであったらしい。ガクアジサイの葉をトイレットペーパーにする習慣が都にあったなら、陰干しの葉を毎日必要とするので都の近くで栽培されていたことが考えられます。

 

紫陽花は食べれません。

アジサイは毒性があり、摂食すると中毒を起こします。症状は過呼吸、興奮、ふらっき歩行、痙攣、麻痺などを経て死亡する場合もあります。